クラリネットのタンギング問題:初心者が早く上達するためのコツ・練習法を紹介!

演奏テクニック&練習法

クラリネットを始める多くの人が苦戦するのが「タンギング」。音は出るのに何故か演奏がぼやける、リズムが揃わない…といった悩みは、実はほぼ全員が一度は通る道です。

筆者自身も、最初は「タンギングって結局何?」と悩んだ末、数々の練習法を試行錯誤してきました。

この記事では、失敗談も包み隠さず交えながら「タンギング克服のためのステップ」を徹底解説します。

タンギングとは?その役割と重要性

タンギングとは、クラリネットにおける「音の表情づけ装置」のようなもの。楽器からしっかりした“発音”を引き出すための必須テクニックであり、メロディをクリアに、リズムを明確に伝える役目を持っています。

私が中学時代、何となく吹いていた旋律が、タンギングが使えるようになった瞬間から、音が引き締まって聴こえた体験は今も鮮明です。

タンギングの基本動作

クラリネットのタンギングは、「舌先でリードを一瞬だけタッチし、空気の流れを一時的に切ってまたすばやく解放する」動作です。

ただ単に舌を動かすだけではなく、リードから舌を“離す瞬間”に集中する感覚がポイント。昔、舌を力いっぱい押し付けて音がつぶれた経験がありますが、その後“抜く瞬間”に意識を変えただけで音のキレが劇的に変化しました。

後輩に教える時も、「一度、思いきりやさしく離す動きだけ試してみて」とアドバイスしてきました。

タンギングの種類と練習法

シングルタンギング

シングルタンギングは最初に覚えたい“基礎の基礎”。「トゥ」「タ」と小さな声で言うような動きで舌を動かします。

一定のテンポで、四分音符や八分音符ごとに、「息は止めず舌だけ使って区切る」ことを強く意識してください。

筆者推奨の練習は、「録音しながら一発ごとの音の粒や揃い方を自分の耳でチェックする」こと。演奏後に自分の録音を聞いて、“頭の中の出来と実力の差”に気付ける瞬間が、上達への大事なステップです。

練習法(私が実際に効果を感じた方法)

  1. メトロノームを60に設定し、四分音符で1音ずつ丁寧に吹く
  2. 息は止めず、舌だけで音を区切る
  3. 録音して「粒がそろっているか」を確認する

ダブルタンギング

シングルでは追いつかない高速フレーズ用にダブルタンギングを覚えましょう。「トゥカトゥカ」「タカタカ」と声に出しながら舌の先と奥を交互に動かします。

最初は楽器なしでしっかり発音練習、それから実際のスケールに当てはめスピードを徐々に上げていくのが推奨ルートです。

練習法

  • まずは楽器を使わず、「トゥク、トゥク」と口で発音して舌の動きを確認する
  • 慣れてきたらクラリネットでC dur スケールを使い、ゆっくりからテンポを上げる

私自身、高校時代に吹奏楽コンクールで高速タンギングの壁にぶつかりました。当時は何度やっても指と舌がバラバラ…。

挫折しかけましたが、先生から「10分続ければ必ず変わる」という言葉を信じて“音を伸ばさない”徹底練習を数週間毎日継続することで、なんとか自分のものにできました。

トリプルタンギング

三連符など「3で割るリズム」の際に有効です。「トゥトゥク」や「タタカ」と発音します。
吹奏楽やオーケストラでは頻度は高くありませんが、ソロ曲や特殊なリズムに挑戦する際に役立ちます。

フラッタータンギング

フラッタータンギングは、「舌を使った巻き舌・震え技」で、現代曲やジャズに多く登場する個性的な奏法です。最初は日本語の「るるる…」を巻き舌で発声するイメージから始めてみてください。

私の場合も、家の中や自転車に乗りながら練習して、地道に舌の感覚を鍛えました。成功した瞬間の“ビリビリ感”は、クセになる面白さです。

美しいタンギングを身につけるための練習法

ロングトーンと組み合わせる

  • 息を安定させながら、4拍ロングトーンの中で前半をタンギング、後半を伸ばす
  • 音の均一さと息の流れを同時にチェックできる
  • 私もこの練習で「息の支えが足りないと舌が乱れる」と気づき、呼吸法を見直すきっかけになりました。

スケール練習で粒を揃える

  • C dur だけでなく、♭や♯の多い調でも練習すると応用力がつく
  • メトロノームを使い、徐々にテンポを速める

最初は60でしかできなかったのが、80、100と上げていくごとに「昨日より速く吹ける!」という成長を実感でき、モチベーションにもなりました。

3. 舌の動きを最小限にする

舌を大きく動かしすぎるとスピードが出ません。
「舌先だけでリードを軽く触る」イメージで、短いフレーズから始めるのがおすすめです。

私はこれを意識するようになってから、速いパッセージでも詰まらずに吹けるようになりました。

タンギング練習におすすめの曲3選

《クラリネット・キャンディ》ルロイ・アンダーソン

均一なスタッカートの強化

軽快なスタッカートが続く、クラリネットの代名詞のような作品。
短い音を歯切れよく並べる練習に最適で、シングルタンギングの基礎をしっかり固められます。テンポを落として練習し、均一な音の長さを意識すると効果的です。

《クラリネット協奏曲 イ長調 K.622》モーツァルト

レガートとスタッカートの切り替え

歌うようなレガートに加え、部分的に短いタンギングも要求される曲。
「滑らかさ」と「切れ味」の使い分けを学ぶことができ、表現力を磨く練習になります。

《星条旗よ永遠なれ》(クラリネットソロ部分) スーザ

速いフレーズでの安定感

吹奏楽ではおなじみのマーチ。中間部のクラリネットソロはタンギングが華やかに映える場面です。
速いテンポでの軽快なタンギングに挑戦できるため、**「速さ+安定感」**を磨くのにピッタリ。発表の場でも実践力が試されます。

《クラリネット協奏曲 第1番 第1楽章》ウェーバー

音楽性を伴った技巧を磨く

冒頭から技巧的なパッセージが続き、タンギングも随所に登場します。
「音量・音色を保ったまま、しっかり区切る」ことが重要で、技術と音楽性を同時に高められる一曲です。

《熊蜂の飛行》(クラリネット編曲版)リムスキー=コルサコフ

スピードと持久力

超高速の細かい音符が続く難曲。シングルタンギングだけでは限界があるため、上級者はダブルタンギングに挑戦するきっかけにもなります。
「無理に長時間続けない」「小節ごとに区切って練習する」ことで、スピード感と舌の柔軟性が育ちます。

 上級者向けです。

まとめ

クラリネットのタンギングは、演奏の印象すら変える“表情”です。途中で投げ出しそうになる日もあるでしょう。それでも毎日の小さな工夫と繰り返しが、演奏者だけの音を磨き続けてくれます。

上達のコツは「できなくて当たり前」から始めること。昨日の自分より1%でも前進できれば大成功。自分の成長を録音で記録しながら、練習を“自分だけの音探し”にしていきましょう。

この記事を読んでくださった方が、自分のペースで練習を続けながら、タンギングの奥深さと楽しさを実感していただければ幸いです。

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