「クラリネットを始めてみたいけど、自分に合う楽器がわからない…」こんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?
ピアノやギターなら入門セットが比較的簡単に見つかりますが、クラリネットは価格、材質、メーカーの選択肢が豊富で初心者には難しく感じます。
そこで本記事では、“初めてさん”が後悔しないクラリネット選びのポイントと、実際の悩んだこと・体験談をお届けします。
クラリネット選びで失敗しない5つのポイント
1.なぜ始めたいのか/演奏目的を明確にする
まず大切なのは「自分がこの楽器で何をしたいか」を考えることです。吹奏楽で活躍したい、ソロでカフェのBGMを演奏したい、ジャズバンドで自由に即興を楽しみたい…。
私の場合、学生時代の部活で使うために最初はB♭クラリネットを選びました。後々社会人バンドや市民オケにも挑戦。B♭クラリネットなら多くのシーンで活躍でき、途中で買い直すことなく使い続けられます。
選ぶ前に、「どこで、どんな曲を、どんなふうに演奏したいか」をノートに書き出すとミスマッチを防げるのでおすすめです。
2.素材と価格帯
クラリネットの本体の素材は、 プラスチック製(ABS樹脂) と 木製(グラナディラ) の2種類があります。
10万円前後〜。耐久性に優れ、温度や湿度の変化に強いのが特徴。手入れしやすく、屋外演奏やマーチングでも安心の素材です。木製と比較すると、音「表現力」というところでは劣る部分があります。
20万円前後〜。柔らかく、深みのある音が特徴です。本格派思考、ホール、人前での演奏を目指す方におすすめ。ただし木製のため、湿気や乾燥で割れるリスクもあり、日々の丁寧なメンテナンスが必須です。
初心者の段階ではプラスチック製を選び、基礎が安定してきたら木製にステップアップする人もいれば、長く使うことを考え、最初から木製を購入する方もいらっしゃいます。
筆者自身は、部活の先輩が使用していたモデルに憧れ、最初から木製モデルを購入しました。
私の所属している社会人バンドのAさんがプラスチック製のクラリネットを持っているというので、話を聞いてみました。

中学生の時に価格と扱いやすさでプラスチック製「ヤマハ YCL-255」を選びました。吹奏楽の先輩は初めから木製モデルを選んでおり、その音色の違いに驚いた思い出があります。
プラスチック製(ABS樹脂製)は、日光にも強いので、マーチング、スポーツの応援などの機会が多い方におすすめします。木製は、日光が割れの原因になることもあります。
そのため、木製はメンテナンスの手間がありますが、その分「自分だけの音」が出せるのが魅力です。
どちらにもメリットデメリットがあるので、特徴を知って選びましょう。
3.必ず試奏して相性をチェック
同じモデル・価格でも、クラリネットは「1本ごと」に吹き心地や音色が異なります。私が2本目を選んだとき、同じメーカー・同じ型番の楽器を店頭で4本吹き比べてみました。
その結果、全く別物と感じるほど個体差があり、選びやすさの重要性を痛感!
「自分は初心者だから…」と遠慮せず、必ず何本か試して、納得できる1本を選びましょう。周囲に経験者がいれば一緒に選んでもらうと、より安心です。
プロ奏者の「選定品」モデルも、迷ったときの強い味方になります。

楽器店で、3本を試奏させてもらいました。一番吹き心地が自然で音色が好みに合ったものを選びました。初めての自分の楽器、わくわくしました! 試奏して相性を見て選べたので、練習がより楽しくなりました。
4.信頼できるメーカーと保証・サポート
初心者が安心して選べるメーカーとしては「ヤマハ(日本)」「ビュッフェ・クランポン(フランス)」「セルマー(フランス)」が人気です。 最初の1本は「保証や修理体制がしっかりしているメーカー」「日本語サポートがある販売店」から選ぶと、トラブル時にも対応がスムーズだと思います。
私自身はヤマハのアフターサービスと入門冊子がとても助かりました。友人はクラリネット専門店(ビュッフェ・クランポン正規代理店)で購入し、定期無料点検も付いて安心できたとのこと。
中古品だと安いモデルもありますが、調整が難しいので最初の1本は新品を強く推奨します。
ヤマハ(日本)
ヤマハは日本を代表する総合楽器メーカーで、クラリネットでも初心者からプロまで幅広い層に支持されています。学校教育や吹奏楽部でも多く採用されています。

筆者の愛用品は、YAMAHAです!
ビュッフェ・クランポン(フランス)
ビュッフェ・クランポンはクラリネット専門メーカーとして世界的に有名で、プロオーケストラ奏者から厚い信頼を得ています。
豊かな音色と繊細な響きが特徴で、木製モデルの評価が特に高く、多くの奏者の憧れとなっています。
本格的にクラリネットを続けたい方におすすめできるブランドです。
セルマー(フランス)
セルマーはサックスで有名なメーカーですが、クラリネットでも独自の個性を放っています。
特にジャズ奏者に特に人気があり、パワフルで個性的な音色が魅力です。
クラシック奏者からも支持を集めており、ソロ演奏や室内楽での存在感を求める人に適しています。
メーカー | 価格帯(参考) | 音色の特徴 | おすすめの奏者層 | 代表モデル |
---|---|---|---|---|
ヤマハ (日本) |
約10万~70万 | 明るく柔らかい音色 安定して吹きやすい |
初心者~中級者 学校や部活動で人気 |
YCL-450 YCL-650 SE,CSシリーズ |
ビュッフェ・クランポン (フランス) |
約20万~90万円 | 豊かで深みのある音色 表現力が高い |
中級者~プロ クラシック・吹奏楽向け |
E13 R13 RC |
セルマー (フランス) |
約20万~80万円 | 力強く個性的な音色 ジャズに映える |
ジャズ向けと言われる 個性的な音を求める人 |
Presence Recital |
※価格は、2025年9月時点の価格です、参考にされてください。
5.練習やお手入れに必須のアクセサリーもチェック
クラリネット本体を買った際に必要不可欠なグッズは、スワブ(清掃用クロス)、コルクグリス、マウスピースパッチ、ポリシングクロス、クリーニングペーパー、サムレストカバーなど・・・いろいろあるんです。
私の場合、最初にセット品を購入できたことで、“どれを買えば良いか”を迷わずに済みました。さらに、教則本や譜面台・チューナーが付属する初心者セットなら、すぐに練習スタートできます。
スワブ(クリーニングクロス):管体の内部に溜まった水分を拭き取るための布。演奏後は毎回使用する。
コルクグリス:マウスピースやジョイント部分のコルクに塗る専用グリス。管を組み立てやすくし、コルクの乾燥や摩耗を防ぐ。固形スティックタイプが一般的。
マウスピースパッチ:マウスピースの上部に貼る薄いゴムシート。歯が直接当たるのを防ぎ、安定して吹ける。マウスピース本体の傷防止にも効果的。
キークロス(ポリシングクロス):鍵盤部分の指紋や汚れを拭き取るための布。柔らかい素材で表面を傷つけないようにする。
クリーニングペーパー:キーの裏についているタンポ(パッド)が水分で傷むのを防ぐための紙。吸水性のあるペーパーを挟んで軽く押さえます。
サムレスト(親指レスト):クラリネットの下管にある親指掛けに使用するクッションです。初心者の頃は、右手親指が痛くなり、タコができます。その負担を軽減するために使用します。 筆者が学生の頃は、黒しか見ませんでしたが、今は、かわいらしいカラーのものも販売されています。
実際の体験談:初心者からプロへの道
大学時代の友人 Bさんの場合
私の友人の体験談をお伝えします。
『私がクラリネットを始めたきっかけは、学生時代の吹奏楽部。”先輩が楽しそうに吹いていた”、”友人のジャズ演奏が格好よかった”、そんな憧れで、勢いもあり予算重視で樹脂製のモデルを選びました。吹きやすく手入れも楽で、扱いやすくて重宝しました。
自分で好きな曲を吹いていることが多く、合奏経験は少なかったのですが、社会人になり、クラリネットサークルに参加をすることで、さまざまなジャンルの曲に挑戦することに。
周りの方の音色の豊かさに感動し、木製モデルを吹かしてもらいました。自分が普段、出している音との違いに驚き、2本目のクラリネットを購入することにしました。
楽器店に行ったところ、プロ演奏家の方の選定モデルが販売されていて、そのクラリネットを吹いた瞬間、「これだ!」と感じ、モチベーションが一気にUP。思い切って購入しました。
以降、練習の楽しさも倍増し、アンサンブルでの役割や表現の幅も広がりました。』
“最初の1本”選びで妥協せず向き合うことが、その後の楽しさや上達につながる――この実感をぜひ多くの初心者さんに伝えたいです。
まとめ:クラリネット選びで失敗しないためには?
クラリネット選びは、決して正解が1つではありません。
- 演奏目的を明確にする
- 自分の生活や練習環境に合った素材や価格帯を検討する
- 試奏をし、自分と相性の良い1本を見つける
- 信頼できるメーカーや販売店を選ぶ
- 必要な備品・アクセサリーまで忘れずにチェックする
この「5つのポイント」をしっかり押さえれば、きっと“あなたにピッタリな1本”と巡り会えます。失敗も含めて経験の一つ。何よりも楽しくクラリネットライフをスタートできることを応援しています!
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