クラリネットを始めたばかりの方にとって、「運指を覚える」というステップは、最初の大きな壁かもしれません。特に大人になって始めた方は、学生と違い、周りにお手本になる先輩がいるわけではないので、謎や心配になることが多いと思います。
たくさんあるキー、複雑そうな構造…戸惑うのも無理はありません。
でも、安心してください。正しい方法とちょっとしたコツを知れば、初心者でも楽しく、そして効率的に運指を習得することができます。
この記事では、クラリネットの基本運指の仕組みや覚え方のポイント、さらに私自身の体験談も交えながら、初心者がつまずきやすい部分を丁寧に解説していきます。
クラリネットの運指ってどうなってるの?
クラリネットを初めて手に取ると、まず驚くのがキーの多さだと思います。実際、私も、どの指でどう抑えればいいのか、最初はかなり戸惑いました。しかし、基本だけ押さえれば大丈夫。紹介していきますね。
クラリネットには主に3つの音域があります。それぞれの音域によって運指の難易度や音色が異なります。
- シャリュモー音域(低音域) クラリネットの最も低い音域で、柔らかく深みのある音が特徴です。初心者が最初に触れる音域でもあります。
- クラリオン音域(中音域) レジスターキーを使うことで出せる音域で、明るくはっきりした音が鳴ります。中級者へのステップとして重要です。
- アルティッシモ音域(高音域) 特殊な運指が必要となるため、上級者向け。音が高く、演奏には繊細なコントロールが求められます。
初心者が最初に覚えるべき運指
クラリネットは、リコーダーのように両手を使って、ホールを押さえます。クラリネットと違うところは、小指の位置にキーが複数あること、それ以外にさまざまなキーが付いていること、が挙げられます。
どこで何を抑えるのか、最初は不安になりますが、ステップを踏めば大丈夫です!
左手を押さえてみよう
クラリネットの運指は、まず「B♭」から「F」、楽譜で言うと「ドレミファソ」の基本的な音から始めるのが理想的です。これらの音は、左手を使う運指です。
右手をおさえてみましょう
左手で、ドを押さえた状態から始めます。「ドシラソファミ」と降りていきます。
これで、両手全てを使った音階ができました。慣れたら、下のミから上へ上がっていきましょう。
「最初から全部覚えようとしないでOK!」 私が習った先生から一番最初に言われた言葉です。鍵となるのは“指の腹全体で穴をしっかり覆うこと”。私は最初、指が細くて思うようにホールを圧迫できず、音がスカスカになりました…。

ちょっとしたコツ: 家で教則動画を見ながら、鏡で自分の指先の当たり方を細かくチェック。初心者用カラー運指シールを活用して、手元を混乱させない工夫もおすすめです
初心者におすすめ!効率的な運指の覚え方
運指表を活用する&ステップを踏んでいこう
運指表は、必須のアイテムです。どのキーを押せばどの音が出るのかを視覚的に確認できるため、理解が早まります。
最近はインターネット上で自分で動かして音を確かめられる運指表も多く、とても便利! クリックするだけでキー配置が表示される便利なツールも登場しています。
【YAMAHA クラリネット運指表】
私自身、紙の運指表をプリントし、楽器と共に持ち歩き、基礎練習をする際は、練習場所の壁に貼っていました。おすすめは「覚えたい音に赤丸ペンでチェックして可視化」→「ひとつのキーごとに集中して、反復練習」→「順番に連続して鳴らす」この手順。
特に「今日は“ソ”から”シ” 」と“1日2、3音ずつ”と、小さいゴールを設けると達成感が味わえます。私も最初の2週間はこの手法でグングン覚えられました。少しずつステップを踏むことで、無理なく運指を習得できます。
クラリネットの運指は、“ラ-シ”をスムーズに繋げることが最初の難関だと思います。焦らず、何度も繰り返していきましょう
初心者のよくある悩みと対策
トーンホールをうまく覆えない
クラリネットの音がうまく出ない原因のひとつに、トーンホールを完全に覆えていないことがあります。指先ではなく「指の腹」でしっかりとホールを覆うよう意識することで、音の安定感が格段に増します。
私は、手が小さく、指も細いため、ホールを抑えるのに最初は苦労しました。指のコントロールがうまくできず、ホールが半分しか覆えなかったのです。
楽譜を見るより「手元の正しい当たり方」に集中をしてみました。クラリネットを構えて音を出しながら、鏡で確認し、指の角度や動きをひとつずつ修正しました。地味だけど「音が変わる瞬間」が快感です!
指使いがぎこちない
つぎによくあることは、手や指が緊張してしまい、動きがぎこちなくなることです。
どうしても指がこわばる人は“無音での指体操”を。楽器を持つ前に、エアクラリネット(机の上でもOK)で指だけをパタパタ動かす練習を毎日3分行ってみましょう。
さらに、「高速よりもテンポ30くらいの超スロー」で焦らず練習することで、いつのまにか無駄な力みが抜け、動きがなめらかになるようになります。
- 手首や肩の力を抜いてリラックスする。
- ゆっくりしたテンポで練習し、徐々に速度を上げる。
- 深呼吸をして、心も体も落ち着かせる。
筆者の体験談
私がクラリネットを始めたばかりの頃、ラからシへの運指がどうしてもスムーズにできず、何度もつまずきました。先生に「力を抜いて」と言われても、どうやって抜けばいいのか分からず、余計に力が入ってしまう悪循環…。
先輩に教えてもらった練習法を試してみました。メトロノームをテンポ30とゆっくりに設定して、「ラ→シ」だけを繰り返す練習です。慣れたら、少しずつテンポを上げていきます。
最初はぎこちなくても、「肩の力を抜く」「手首を柔らかく保つ」ことを意識し、何度も何度も繰り返したところ、スムーズに音が移行できるようになりました。
楽しく続けるための工夫
メトロノームを使ってリズム感を養う
メトロノームは、一定のテンポで練習するための便利なツールです。テンポ60から始めて、メトロノームに合わせて、一つずつ指を離して、音階を拭いていきましょう。
慣れてきたら少しずつ速くしていくことで、自然とスムーズな運指が身につきます。
好きな曲でモチベーションアップ
音が出せるようになってくると、単調なスケール練習だけでは、飽きてしまうこともあります。機械的な「ドレミ練習」に飽きたら、“自分の好きな曲の一部”を1フレーズだけ抜き出してチャレンジ!
私はアニメソングのサビや童謡のフレーズで「目標達成」を感じました。短いフレーズ同士を何度も繰り返し、少しずつ音がつながっていく感覚が生まれ、「あ、今のフレーズきれいに吹けたかも!」と感じた瞬間は、何とも言えない達成感がありました。
クラリネットは技術だけでなく、気持ちが音に表れる楽器です。だからこそ、心が動く曲を選ぶことで、練習が「作業」ではなく「楽しみ」に変わっていくのだと思います。
まとめ
クラリネット運指の習得は、焦らず“日々の積み重ね”で必ず報われます。自身の身体にとって無理のないやり方、気分が乗った曲を使うなど、「自分らしいマイペース練習」を大切にしましょう。
続けていくうちに、「あ、指が勝手に動いた!」という気持ちいい瞬間が必ず訪れます。大人は“途中経過を楽しむ力”に優れていると信じています。一歩一歩、新しい音色と自分自身の発見を楽しんでみてください。
コメント